2019年04月17日

So Tendar

こんな話を聞いたことがある。

「おふくろが作る味噌汁の味が薄くなったとき、少し親孝行を考えるようになった」 と。
意味はわかると思うが、味つけは年齢をごまかせない。

お酒の量もごまかせない。
バーは、お酒を提供する場だが、酒を提供しないのも仕事。
飲ませろと憎まれ口を叩かれようが、ダメなモノはダメで、お引き取り願うときもある。

毎晩、酒をたしなむ人を見ていれば、これ以上は飲ませられないと判断するのも気遣い。
そりゃ、店としては、飲んでもらった方が、実入りは助かるし、いいお客さんでもある。
しかし、体を壊されたら、元も子もないし、何よりも長いつきあいができなくなる。

酒を提供するということは、一貫して 「人を見る」 ことにもつながる。
お客さんの状態を見ながら、薄い水割りでやわらげたり、手心を加えるときもある。
それは、心身の健康をあずかる 「保健室」 たるや、社会的な役割もあるからだ。

開店12年目にもなれば、ほどよい親近感で、あしげに通ってくれるお客さんも増した。
おたがいに年齢を重ねて、酒量は減る一方だが、長年の信頼関係を構築した証でもある。
人となりを理解し、その人柄を伝えたり、生き方を代弁すべき感性もマスター冥利。

スナックなら、具合の悪いお客さんに対する対応で、ママの器量がわかる。
「具合が悪いのにありがとう」 と単純に喜ぶのは、その場限りのノー天気であり、いいママであれば 「もう早めにお帰りなさい」 と諭して、長い目で相手を思えるのが 「商売上の心得」 だよね。 

バーのマスターであれば、イタズラに酒で客を潰すのはカンタンなこと。
だが、それをしないことが、バーテンダーの 「テンダー」 (優しさ) であってさ。

「キース・ジャレット・トリオ」 奏でる 「ソー・テンダー」 は、ボクが長年 「こよなく愛している」 名曲。

posted by GIG at 00:00| Comment(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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