2019年03月10日

夜の避難所

9日 西風にのって、日本酒のまろやかな香りがただよっていた万代。

朱鷺メッセでの恒例イベント 「にいがた酒の陣」 の帰り客によるもので、多くの知人も来場したようだ。
ビッグスワンでは、サッカーJ2 「アルビレックス新潟」 のホーム開幕戦ともかさなり、新潟駅を東西に二分した集客で、昼夜の繁華街は人で賑わい、ホテルはフル稼働、タクシーも空車待ち、駅も混雑して一定の経済効果をもたらした様子。

バーは、特需にあまり影響されない。
むしろ、騒がしさを遠ざけて、おちついた人が足を向ける 「ナイトシェルター」 のような空間。
イベント関係者が解放され、異なる空間で心身をリセットし、止まり木でくつろぐことしばし。

会社勤めのころ、旧知のスナックで飲んでいた夜のこと。
後方のボックスシートに、某情報誌の広告を受注する営業職の面々がくつろいでいた。
2歳下のマスターに 「お店の広告でも出したの」 とたずねると、カウンター越しでこう説明した。
「クライアント (広告主) の店だと、仕事の延長になるから、しがらみのない店に集まる」 という。

さらに 「特定の広告店に出入りしてると、地元のつながりでウワサが回り、それを聞いた他の掲載店が気分を害したり、値引きなどの社内規定が漏れるおそれもあるので、つながりのない店で飲む」 とか。
普通は広告を受注する目的で来店するが、プライベートは 「自然体で過ごせる店」 になるのだろう。
その話を聞いて 「なるほど」 と、マスターの目の高さにグラスを合わせた。

当店、掲載するほどの規模でもなく、紹介と口コミでここまで生かされている。
取引先に 「使ってよ」 とプレッシャーをあたえたことはないし 「パブリシティーに取り上げてほしい」 とオファーやバーターもしなければ、お客に 「ひまだから来て」 と営業したこともない。
お客を束縛しない配慮で、ほどよく距離をおいてつながる、バーは 「夜の避難所」 である。

日々の清掃と仕込みを終えて 「待つことも仕事」 だから、商いは近道なき、長い道のりと心得る。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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