2017年04月08日

遠距離電話

4月から、ひとり暮らしをはじめた、若者は多いと思える。

近年 「SNS」 の普及で、いつ、どこでも、だれともつながれるから、昔ほど寂しさは感じないだろう。
それに 「ホームシック」 なんて言葉も、めっきりと聞かなくなったなあ。

ボクがひとり暮らしをはじめたとき、週一度のペースで、夜の9時頃、ポケットに入れた大量の10円玉を握りしめて、街角の電話ボックスまで走った。
先に利用者が長電話をしていると、次第に約束をした時間がズレこんでくるから、わざと目の前でラジオ体操をしたり、怪訝な顔をされながらも、早く切るようにプレッシャーをかけた。

空いたらすぐに受話器の手垢をズボンで拭きとり、コインを何十枚も投入しながら、手の甲に書いてきた電話番号 「025‥」 からはじまるダイヤルを丁寧に押し、限られた時間で彼女と会話を交わす。
途中 「ブー」 とまもなく通話の終了を知らせるブザー音が鳴ると、慌てて追加のコインを投入するが、タイムオーバーで切れた後の 「プー‥プー‥」 と無機質な音を耳に残しながら、夜の電話ボックスのガラスに映った、自分の顔が寂しそうに見えたのが、そのときだったかな。

交際しているのに、会えないほどつらいことはないし、会えないから人は別れるんだと思う。
たとえ会えなくても、次の約束はしたいし 「ヒマなときに電話する」 では、その恋は終わったも同然。

今は、多くの表面的なつながりに追われて、本命に気がつかず、交際の本質を見失っているようだ。
軽薄な男だと、四方八方に 「仕掛け針」 を落としておき、女性が食いついて来たら 「遊ぼう」 とするノリにも見えるし、仕掛けだけ作って、相手に好きと言ってもらうのを待つなんて、だれからもよく思われようと立ち回る男 (八方美人) に決まってるじゃん。

数多くの出会いを求めるのはいいけど、その分、切り捨ても早く、結局 「他のだれでもないひとり」 を選べないし 「体当たり」 「当たって砕けろ」 って言葉も、今は死語に近いかもね。
距離が遠いから、別れることもあるが、距離が近いから、実らない恋も多いんじゃないか。

そんな公衆電話から、遠距離恋愛のはがゆさを味わったが、ひとり暮らしは多くのことを教えてくれる。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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