2016年10月26日

腐れ縁

人間関係には 「腐れ縁」 と呼ばれるものがある。

日曜の夜しか飲みに出歩けられないが、たまに顔を出す店が複数ある。
そのひとつへ行くと、変わり映えしない光景を目にする。

いつもカウンターで顔をふせて、口を半開きにしたまま、寝息を立てている男がいる。
手元には乾いた皿と箸、干からびた単品料理、半渇きのおしぼり、気の抜けた生ビール。
結露したジョッキの水分が、布のコースターに吸引されて、敷いてある役割を果たしていない。

その眠る男から、一席おいて座るが、店だけの顔見知りである。
直接は知らぬが、ボクの小中学校と高校の3歳下の後輩筋であるといい、高校は半年で中退したとか。
以降、力仕事一筋で、週末は競馬と酒が楽しみらしい。

日曜は、いつも店主と眠る男、二人だけの空間に割り込む形となる。
すると店主は 「おい、コラ、おまえの先輩が来とんのじゃから、いつまで寝てるんじゃ、しっかりせい」 と、エセの関西弁で一喝するが、できればそのまま寝かせておいてほしい。

前みたいに、興味のない競馬の話を延々と聞かされるのはごめんだし、学校筋といわれても、関わったことはないので、妙な上下関係で気を遣わしたくないし、今夜は少し静かに飲みたい気分である。

そんな気持ちよく眠る彼を横目に、店主と他愛ない話をしながら、テレビに目を向けると、日本シリーズ第2戦は、5−1で広島が2連勝を決めた場面だった。
キリの良さに、次の店に行こうと席を立とうとしたが 「Eちゃん、まだ、ええやんか」 で引き止められる。

こちらは意図せぬ、延長戦に突入してしまったが、これも 「店主との腐れ縁」 というやつである。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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