2016年07月13日

やすらぎ

12日 まだ空気がなじんでいない店内で、離れて暮らす母親と妻の三人でよもやま話をしていた。

たまに電話で近況を交わすが、こうして三人で会うのは久し振りだ。

近年の母は、カラオケを趣味にしたという。
それも、ご近所のお茶飲み友達を連れ添って、昼から夕方にかけて過ごしているんだとか。
変わろうと思えば、変われるものだ。

もう30年ぐらい前、親孝行を兼ねて、カラオケスナックに連れて行ったことがある。
息子の前だから、テレちゃったのか、へたっぴなのかわからないが、人前で歌わないシャイな母親だ。
そのため、ボクひとりだけがステージで熱唱して、母は客席でにこやかな表情で細かい拍手をしながら、時おり小さい声で 「ワァー」 とか声援を贈ってくる。

そんな母は、人づきあいはいいのだが、決して主役になろうとはせず、人を陰で見守るタイプなんだ。
とても、古町のクラブを数軒ほど任されていたタイプには思えないが、実は 「出しゃばらない」 これこそ 「ママ職」 として最大のコツだったのかと、今さらながら納得させられる。

それに、女性バーテンダーが走りになったころ、新潟から東京の赤坂にあったバーテンダースクールに通い詰めて覚えたほどだから、昔の人はひとりで何役もこなしていたんだ。
「ねえ、ジンベースでショートカクテルを作ってよ‥」 と言われたが、74歳にもなる母親に飲ませるのは怖くなり、ぶっきらぼうに断ったが、母には生きる喜びを実感して、余生を楽しんでもらいたいと願う。

財布から、いろんなカラオケ店の会員カードをカウンターに並べて、その特典を説明するうちに、次第に妻のテンションも上がったのか、急に二人して 「今から、歌いに行こう」 と繁華街に消えて行った。
妻の体調はまだ完全ではないが、人の健康観は違うし、遊びに戸を立てるつもりはないから、たまにはストレスを発散するのはいいことだと思う。

それも、母と妻、ふたりでひとり、少しやすらぎの場所があれば、これでいいんじゃないかな。

ボクは、最初のお客さんが来るまで 「ホリー・コール」 の気怠い歌声を聴いて過ごしていた。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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