2016年03月19日

My Foolish Heart

音楽の感じ方は、人それぞれに自分の世界を持っているから 「こうだ」 という決まりごとはない。

最近、ベテランベーシストの鈴木良雄さんが、ジャズの名盤を私的に解釈した 「ジャズの名盤入門」 なる本を出版した。

これまで、音楽評論家の書籍は数多くあれど、現役の音楽関係者が自身の名盤を選定したり、数多くのアンケート結果をもとに、鈴木氏が 「ミュージシャン目線」 で解説をつける企画本である。
また、共演ミュージシャンの演奏やエピソード、人柄に至るまで、正直だったので読み応えがあった。

本編、名盤の第一位は、予想に反せず マイルス・デイビス 「カインド・オブ・ブルー」 (59)
だが、ボクの第一位は ビル・エヴァンス 「ワルツ・フォー・デビィ」 (61) だな。

開店当初、最初に流したアルバムだったこともあり、そのときの複雑な心情も浮かんでくる。
その一曲目 「マイ・フーリッシュ・ハート」 の出だしを聴くと、どうしようもなくとろけそうになる。

ご存知のように、ボクは 「キース・ジャレット」 が好きである。
だけど、彼は評価が二分されるタイプで、高い才能ゆえ 「観念的な言われ方」 をされるようだ。

アルバムにもよるが、彼は 「 Keite Jarrett 」 というジャンルで確立してるところがあるし、好まない理由の多くは、演奏中の 「うなり声」 に難色を示されるんだけど‥

彼をレビューした鈴木氏は、ボクとは正反対なコメントを出していた。
演奏中に発せられる声が、メロディーをかき消すことに苦言をもち、極めてうなり声が少ない 「ソロ」 に最高峰のパフォーマンスを感じるという。

うなり声は想定された意見だが、意外なのが 「ゲイリー・ピーコック」 と 「ジャック・ディジョネット」 の相性が合わないとの見方。
しかも 「聴いていて、気持ち悪い」 とバッサリと切り捨てた‥  キャー! (笑)

ドラムはアルバム 「アット・ザ・ディア・ヘット・イン」 (94) で共演した 「ポール・モチアン」 の方が、キースはリラックスしており、またゲイリーとの相性もいいともいう。
鈴木氏は、音色を大切にした、おちついたベースなので、少し攻撃的なジャックは合わないのかもね。

ボクはアグレッシブなジャックが、キースを神がからせていく役割を果たしている思える。
ラインを担っているゲイリーは安全だけど、これがスタイルの異なるベースだったら、どんな即興的な   展開になっていたか、これも興味が尽きないが、キースは最後まで二人を離さなかったよね。

それに、リリシズムだけに埋没せず、スリリングを味わえるところが、あのトリオの魅力だったしさ。
そのうなり声に関して言えば、ボクは気にならないどころか、あれも一つの楽器 (個性) として、   四重奏を楽しんできたから、うなり声はスパイスでしかないんだ。
それよりも、うなり声の向こうにある旋律に耳を澄ませれ‥   この話はもう尽きたかな。

ボクはあのアルバムを聴いたとき 「ディジョネットの魅力を再認識した」 と書いたけど、いやはや、  正反対なんだから、いかに音楽は 「自由な世界」 であるかわかるよね。

プロとアマの 「聴き耳は違う」 と思えるし、得てして強力な個性を持つミュージシャン (この場合は、アーティスト (芸術家) でもいいが‥) ほど、判断の分かれ目はハッキリする。
もちろん、良し悪しで分けられるほど、単純なものではないだろうが。

主題とは異なる行数を埋めてしまったが、巻末で 「識者が選んだベスト20」 に目を通すと、名盤は  人それぞれ異なるから、好きのつじつまなんて、あってないようなもんだ。

戯れ言だが 「マッコイはどうしたの」 「キースのトリオにも名盤があるだろ」 「エヴァンスの名盤 (ユー・マスト・ビリーブ・イン・スプリング) は、だれも取り上げないのか」 など、頭の中のケーブルは、バチバチと火花を散らしているのである (笑)

よくよく考えた末、ボクの第一位はやはり、ビル・エヴァンス 「ワルツ・フォー・デビィ」 なんだな。
オープニングナンバー 「マイ・フーリッシュ・ハート」  直訳すれば、ボクのことかも (-.-)

これを超える 「名盤探し」 は、今も続いている。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Jazz & Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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