2015年12月13日

言霊 (ことだま)

言霊を信じるかどうかは別として、言葉が人にあたえる影響は決して小さくはない。

先日書いた、闘病中のプロレスラー垣原に、前田が贈った熱い言葉は 「強い言霊」 として宿るだろう。

考えてみれば、人は言葉の力で励まされたり、時には奮起させられたりするもの。
そんな前田も、酒好きの無類派である作家 「中島らも」 (故人) の言葉で、どん底から立ち直った  過去はあまり知られてはいない。

彼は、若きリーダーとして、ニューウェーブのプロレス団体 「第二次・U W F」 を率いたが、水面下でクーデターを企てられ、団体は空中分解となり 「ひとりぼっち」 になった。

それまで、若手を食わせていくため、私財を投げ売って資金繰りに奔走したり、体を張って外敵から    団体を守ってきたのに、だれも彼についていくどころか援護もせず、その思いは報われなかった。

不可解な解散後、自暴自棄の引きこもり状態が続き、だれとも連絡をとらずに会おうともしなかった。
そのとき、彼に一通の手紙が届き、その差出人は私生活で交流のあった 「中島らも」 からだった。

手紙の文面はこうだ。

「君は挫折をする資格はない」
「なぜなら、男がこんなにがんばっても、あっけなく終わるようでは、それを見た若者たちは夢を失う」
「だから、君は挫折する資格はないんだ」

古い記憶なので、文脈は形骸しているが、伝えた内容は間違ってはいないと思う。

決して、うわべだけの思いやり上手な言葉を使わず、前田の個性をわかった上で、中島が放った言葉に強烈な言霊が宿ったのである。

このあと、たったひとりで、ファイティングネットワーク 「リングス」 を立ち上げ、それまで好敵手だった 「クリス・ドールマン」 率いる 「オランダ軍団」 が、国境を越えた男気で、前田に全面協力することに  なるのは、コアなプロレスファンなら知る展開であろう。

だから、前田は言葉を大切にする。

自分の言葉をおさえこむだけで、さらけだすことをしなければ、相手を思いやることにはならないのを、彼はさんざん人間のイヤな部分を見せつけられてきたから、言葉の大切さを知っているんだ。

やはり、わかりやすい感情は、わかりやすい人間を近づけ、おたがいの言霊は響くのだと思う。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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