来年の干支は、申 (さる) か… 今年も自宅に早くも 「年賀状印刷」 の案内書が届いた。
幸いなことに、これまで年賀状を出せなかった年はなかったが、これからは毎年同じように出せるとは 限らない年回りになっている。
例年、迷いが生じるところだが、お店 (個人事業主) としての年賀状 (挨拶状) はどうするか。
職業上、企業の方々の名刺は、自然と手にすることが多い。
バーやスナックは、食事をする場所とは一線を画し、中高年の 「隠れ家」 ニーズを含んでいる。
仮に、企業の役職に宛てたとしても、総務部が仕分けして各部へ配られるので、個人宛にはならない。
期限が切れた名刺もあれば、宛名不在もあるはずで、転勤は世の常。
バーは、仕事で疲れた心と体を休める場所でもあるから 「あの店で飲んでいるのか…」 など、あまり外部の人には知られたくない、デリケートな心理が働いている。
だからと言って、メールでご挨拶など特別な距離でない限り、軽々しくてためらいもある。
そうすると受身になるが、扉を開けていただいたときが 「時節のご挨拶」 でいいかなと思ってしまう。
それでも毎年、名刺を交換する所作は、少なくなっている。
もしかすると、名刺交換は 「消えゆく文化」 のひとつかも知れない。
職業上、本音を言えば、身元のハッキリしない人の前では、あまりうかつなことは語れない。
ボクは逃げも隠れもできないが、バーカウンターには、マナー (品位) と タブー (禁忌) がある。
そんな思いをめぐらすと、お名前を知らされるということは、胸襟を広げてくれた証でもある。
きっかけができれば、ボクもそこそこ安心するし、名刺はその時々の身分証明証代わりとなる。
対面商売、オープンにはオープン、クローズにはクローズ、オープンとクローズが交わることはない。
よほどのことがない限り、人に障壁を作ることはしないが、お顔が名刺代わりのお客さまも多くなった。
まあ、ご来店が挨拶代わりとなり、ちょっとした頼まれごとに協力したりするなど、マスターとお客さんは惰性でつきあっているとしか思えない仲でも、意外と不思議に信頼関係ができていたりするんだよね。
2015年10月16日
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