2015年02月13日

キング・オブ・エンターティメント

プロレスから見た、社会風刺である。
プロレスがもたらした、ユーモアや曖昧さを理解できない頭の持ち主には、読み進めないでもらいたい。

先日、プロレスラー 天龍源一郎 (65) が、正式に引退を表明した。
と、同時に 「阿修羅」 と化すらしい。

引退試合に指名した相手は、今や飛ぶ鳥を落す勢いで実力をつけた、若手王者のオカダ・カズチカ。
どうやら、オカダが不用意に言い放った暴言に天龍のプライドが傷ついたらしく、知るところでは過去の人物扱いされたどころか、昭和のプロレスに敬意を重んじない不遜な態度に腹を立てたとか。

うーん、このアングル (プロレス隠語) は、どこかで覚えがあるぞ…
そうだ、シルベスター・スタローン 主演映画 「ロッキー・ザ・ファイナル」 である。

映画では、現役王者が自分の強さに自惚れ、それまで歴史を刻んできた人物を見下す発言をした。
ロッキーはエイドリアンを失った傷心と、息子とのわだかまりを抱えていながら、若造の不用意な言動に  過去の闘争本能を呼び起こされ、現役王者からの逆挑戦状に決断を下すのがあらすじとなる。

今回のアングルは、天龍とロッキーの生き方をダブらせているようだ。
きっと、ハイスパット (プロレス隠語) で、ロートルの元王者が現役の王者をガンガンと追い込んで、
リング上で 「プロレスとは何たるものか」 を叩き込むのであろうか。
いいよ いいねえー 「天龍革命」 らしくて、 いいよ!

劇画やエンターティメントの世界は、何でもできちゃうからいいよね。
だれもが心の中では、日常の理不尽な小さな怒りに気持ちがフツフツとわきおこっている。
それを壮大なドラマ仕立てで表現してくれ、最後はジョブ役 (プロレス隠語) の相手を、天下の宝刀で倒すのが爽快である。

年代をラベリングするつもりはないが、この先は過剰意識とならずに、読み飛ばしてもらいたい。
僕より干支 (えと) が、ひと回り下だと、子どものころはあまり生活に困らなかった時代だろう。
私立高校に進学させてもらったり、私立大学や留学なども盛んなころだ。
バブルが弾けたとはいえ、世の中のお金はまだ回っていたし、親の恩恵を受けやすかった世代である。

それでいながら、「ニート」 なんていう不思議な存在も注目を浴びはじめていた。
いい歳なのに、働かなくても自宅に居候させてもらえ、三食の飯にもありつけた。
たまに週4日ほどのアルバイトに出かけ、休日はカラオケか自宅でパソコンやゲームに興じる。
小さいときからチヤホヤされてきたから、叱られることに慣れていない。
少し叱られたぐらいで、イライラした感情をあらわにフテ腐れるから、当然、私生活も荒くなる。
こっちは怖くも何ともないのに、そういう態度に出れば、相手がビビると思っているから、始末に悪い。
それに給与を家に入れることもなく、消費はマイカーとたまにコソコソ出かける受身の風俗店オンリー。

今から、20年ほど前はそういう連中が多かったが、それに甘んじなかった若者が、今しっかりしている。
経済的にはどん底じゃなかったし、そうじゃなきゃ 「ニート」 なんて言葉は生まれなかったはずだ。
本当に不況だったら、ニートなんていないと思うし、石にもかじりついて何かしら生きているであろうし、 時代が時代なら 「赤紙」 (徴兵令) モンである。

それに気づかずに肩書を手に入れたりすると、自分を育ててくれた環境に敬意をもたなくなる。
それまでの歩みはあたりまえの権利だと思っていれば、何かを得たのは全ては自分の能力が成し得たことと、勘違いをはじめてしまうんだ。
だってさ、甘やかされた奴は、謙虚な姿勢がなく、口ほどでもなく、態度だけがデカイからわかるもん。
彼らに敬意なんて言葉を期待するほうが、ちゃんちゃらおかしいんであってさ…

そんな、バカ殿さまな対戦相手を天龍源一郎がプロレスファンタジーを使って、われわれのうっぷんを   晴らしてくれるとしたら、何だか興奮しちゃうよね。
この際だから、顔面達磨大師、またの名をマムシの組長 「藤原嘉明」 も、登場してこないかなあ。
つまり、プロレスエンターティメントとは、主役と悪役の抗争劇の中で、どのようにして主役が感動を   与えてくれるのかを見届ける人生教養でもあるんだ。

社会の縮図をリアルに描くのが、われわれが愛した キング・オブ・エンターティメント 「プロレス」 だ。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Sports Fan | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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