2014年10月07日

隠微な日記

夕方、店まで歩いていたら、雨もすっかりと止み、やわらかい巻き返しの風が心地よかった。

台風が去った夜ほど、宝石箱をイメージさせる旋律を欲する。
小粒なピアノもいいけど、たまにはストリングスを背景にした、管楽器のバラードなんかもいい。

しかし、「ウィントン・マルサリス」 のような、聴き手の感情移入を拒み、甘さを排除したストイックな演奏ではなく、静かなノートながら、軽やかにスイングさせ、シンプルなリフを繰り返して、クライマックスを  むかえるような曲が好きだ。
そこに関心を寄せながら、パッと曲が浮かばないところに、「ストリングス・ジャズ」 の難しさがある。

10年前に知り合った女性が、生後3ヶ月の赤ん坊を抱いて店の扉を開けた。
未婚の母ながら子どもをあやしている、彼女の元気な姿を見れたことが、何よりうれしかった。
新潟駅「21:35発」の新幹線に乗り込むため、街角の横断歩道まで母子の後ろ姿を見送った。

「ミシェル・カミロ」 の 「ピアノとストリングスの組曲」 を流してたら、店の電話が鳴り響いた。
「近々、そちらへ伺いたいので、お店の場所を教えて欲しい」 という、問合せの内容であった。
今ではどんな場所でも、すぐに調べられる情報化社会でありながら、最近ではめずらしいことだ。

7年間、店の帳簿をつけているが、大してお客さんの来店動向はアテにはならない。
天気が荒れれば足並みは乱れるし、新しいお店を開拓したい誘惑も勝るので、昔ほど行きつけの店を    大切にする風潮が薄れている中、変わらぬ関係こそが貴重と思えるようになってきた。

日本のバイオリン奏者である、「寺井尚子」のライブアルバムを流したのは、日付が変わるころ。
音のはじまりがハッキリしない楽器は、それまでジャズには向かないと思っていた。
しかし、そのイメージを変えてくれたのが彼女のバイオリンで、はち切れんばかりに弓を引く力強さ、   最初のアクセントの入れ方など、名曲 「スペイン」を聴いたとき、最初にそう感じたね。
それに良家のお嬢様が情操教育で、習ったような演奏じゃないところがいいんだ。

僕は女性奏者が弦楽器を弾きながら、譜面を 「Z目線」 で追っているときの表情が好きだ。
女性ピアニストの場合、口が半開きになりがちだけど、バイオリン奏者は本体を首に固定するから、    自然と口が引き締まってるので、眼力がカッコいいんだよな。

さざ波のドアチャイムが響いたのは、深夜の1時を少し回ったころ。
ネクタイの結び目がいかしている男性二人連れは、今夜最後のお客になることは長年の勘でわかった。
台風が去った夜ほど、時が止まって動いているような、独特なおちつきの空間がある。

今晩は日記風に、ジャズのフレーバーを散りばめた。
音楽好きじゃないと、隠微な文章がジャマだろうけど…     これでも ジャズバーですので!

   
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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