週末の深夜、高校時代の同級生が仕事帰りにカウンターの隅で飲んでいた。
彼の実家は西蒲区(旧黒埼町)で、兼業農家を営んでおり、これから黒埼茶豆の収穫がピークになる。
この時期、家族は深夜には起床し、「朝採り茶豆」として、早朝には市場へ出荷する日が続くらしい。
作物にもよるだろうが、農家にとって今が集中的なシーズンであろう。
遠い記憶だが、夏の時期に農家の友人宅へ遊びに行くと、ひと仕事終えた家族が大広間で扇風機を 回しながら、昼寝をしていた光景を目にした。
あたりからは、セミの大きな鳴き声や風鈴の小さな音色が響き、つけっぱなしのテレビからは時折、 高校野球の甲高い白球音のあとにこだまする、実況と大声援が飛び込んでくる。
空を見上げると、飛行機の轟音が雲ひとつない青空に遠く響いていたり、夏の農家は朝が昼、 昼が夕方、夕方からが夜、深夜が早朝になる、どこか違った世界が感じ取れた。
会社勤めの彼は、そのあとタクシーで実家の二世帯住宅へ帰宅することになるが、深夜に収穫へ向う家族と出くわすと、「バツが悪くてさ…」と、少しはにかんだ表情でつぶやくあたり。
今夏、わが家の食卓には弾けるほど粒が揃った、黒埼産の 「朝採り茶豆」が並ぶであろう。
2014年07月28日
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