ここまで絶賛していながら、矛盾に満ちているようだが、僕の意見はそうなるざるをえない。
ブログ(ジャズの頁)を読んでいるお客さんから、「最初に聴くキースの一枚はどれからがいいか…」 聞かれたことが2度ほどある。
それに何枚か聴いている人の中にも、「どの曲も同じように聴こえてしまう」という全うな声も上がる。
最初からあれこれ聴きすぎると、そういうことになりやすいので、聴く枚数は制御したほうがいいと思う。
日常的にジャズを集中して聴ける時間は少ない。
聴くことを軸とすれば、せいぜい月に数枚ほどであろう。
特に「ボックス」や「二枚組」などには、手を出さないほうがいい。
耳が届いてないわりには、全部聴いた気になってしまうし、あれこそマニアを対象にしたモノである。
僕自身、いまだに「二枚組」は集中力が保ちにくいので、だいたい片面志向になる。
初心者であれば、聴いている時間を垂れ流す一方で、たぶん「〜しながらジャズ」になっているだろう。
一枚を聴いては、次の一枚へ行きたがる人ほど、耳の座りが落ち着かず収集へ走りがちになりやすい。
僕は仕事上、人より聴ける環境にあるだけで、普段であれば「月に2枚」も聴きこめれば十分である。
うーん、キースの推薦盤か…
ソロアルバムなら、「メロディ・アット・ナイト・ウィズ・ユー」は、誰からも愛されるだろう。
それ以外、「ケルン・コンサート」で完結していいが、個人的には「リオ」がお気に入りである。
最初の質問に戻れば、「スタンダード・トリオ」 80年代初期の三部作は要チェック。
とりわけ、「スタンダード・2」は、初めて聴く人には心地がいいだろう。
1曲目「ソーテンダー」、5曲目「イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー」の魅力に負うところが大きい。
個人的には、「星影のステラ」と「ザ・キュア」は、三部作に次ぐ永年の愛聴盤。
ただし、「チェンジレス」と「インサイド・アウト」の2枚は、難しすぎるので避けたほうがいい。
二枚組ながら、「スティル・ライヴ」と「ウィスパー・ノット」は優れたアルバムだと思っている。
ソロ映像なら、「2002 東京ソロ」が好きだ。
トリオ映像なら、文句なしに「スタンダーズ・T&U」が抜群である。
「U」では、僕がドラマーの「ジャック・デジョネット」を好きな理由がふんだんにおさめられている。
トリオとしての黄金期を極めていたころの、貴重な映像だと思っている。
キース・ジャレットの扉は多い。
どこの扉から開けるかは自由だが、カッコで聴くとどうしても薄っぺらになってしまう。
まずは、ものさしとなる一枚を見つけて、集中的に聴きこんで自分のものにする。
それを基準に聴き進めていけば、自分の好みも次第にわかってくるというもの。
僕のはじまりは、1983年「Standards.Vol.2」からだった。
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イントロを聞いていると、星空が広がるといってたことを思い出しました。
また、素敵なアルバムを教えてください。