2013年02月18日

うめ湯

あぁ、みんなが気を遣っていたのか…

閉店時間が迫る銭湯に駆け込むと、僕以外の入浴客が二人いた。
ひとりは初老、もうひとりは30代後半かな。
僕はかけ湯をした後、湯船に右足を入れると… 「あっちぇ!」(熱い)
水でうめようと蛇口をひねろうとしたが、体が冷えているから熱いんだと思い止まった。
それに、他のふたりに悪いと思ったけど、とても肩まで入れるような温度ではない。
素直に水を差せばいいのに、半身浴で肩や首を回したりして、やせ我慢をするあたり。
熱さにたじろいでいることをさとられないように、とりあえず熱湯風呂から脱出した。

すると珍しく学生らしき若者が入ってきたが、最近では見かけない顔である。
湯船には入るが、やっぱり肩までつかれずに、水を差そうか迷っている様子。
そのうち他の二人も別の湯船に入るが、誰も水でうめようとはしない。
そうなるともう、サウナの我慢比べ状態である。
早くも初老は上がり、続いて30代後半も半身浴だけに止めて上がる。
湯船にひとり取り残された若者は、半身浴のままで水を差そうともしない。
僕はお湯の温度がわかっているので、いったん脱衣場に戻り新聞を拡げてその様子を遠目で伺う。
すると誰もいなくなったのを見計らってか、若者は勢いよく蛇口の水を全開にしながら、右手で湯船の   お湯を大きくかき回しながらようやく肩までつかった… やっぱり、本当に熱かったんだ (笑)

銭湯では他人に気を遣って、安易に水を差さない、無言の空気が湯煙と入り雑じっている。
僕も他人に気を遣っていたが、周りも僕に気を遣っていたことである。
でも、そんなことばかり気を遣っていたら、湯冷めをおこすどころか、健康を損ねないか心配だ。
会食で大皿に残っているひとつの料理を、誰が箸をつけるか迷うように、ここ銭湯も例外ではない。
「うめ湯」は我慢比べ、それか気遣い、もしくは遠慮、それとも叱られるかもしれない小心者の心理。

銭湯はいい湯である前に、素っ裸でおたがいの空気を読みあう、裸のワンダーランドなのである。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Shower Fan | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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