2012年11月19日

コラテラル

映画「コラテラル」(2004米国)の脚本が好きだ。

今晩、7年振りにじっくりと見返してみた。
見た人なら、「トム・クルーズ」の悪役ぶりが印象に残ったと思う。
タクシーをチャーターして、一晩で5人の重要関係者を暗殺して回る、殺し屋役なんだからね。
(クールなくせに、イージーミスも多くて笑っちゃうけど…)
それにタクシー運転手を演じる、「ジェミリー・フォックス」がいたから、殺し屋の冷徹さが光った。

彼には夢がある。
毎晩タクシーにお客を乗せていれば、それなりの緊張感も強いられる。
自由気ままに振舞われ、人を人と思わない態度に失望するときもあるだろう。
そういうとき、運転席の日よけに貼った、南の島の写真を眺めて、気分転換を図れる少年っぽさがある。
夢はいずれ独立してリムジンの運転手となり、お客を送迎することを僅かな幸せにしたいと願っている。
病床の母親を看守りながら、「どうせ過ごすなら、夢を持って楽しく生きたい」と前向きだ。
それは自由な空想でもいいと思う。

日々そんな想いを抱きながら、偶然にお客として乗せた殺し屋から、抑揚のない声でたずねられた。
「そういう夢を持ってから、この仕事はどれくらい経つんだ…」
運転手は少し詰まり気味ながら、「ああ、12年だ…」と答える。
すると殺し屋は一瞬、驚いた表情を浮かべた後、呆れた顔で、夜のロスの街にゆっくり目を移す。
その目には、「いまだに夢を実現できない負け組」の烙印を押した、冷たい傲慢さが伝わってきた。
一攫千金で生きる殺し屋からすれば、そんな夢は生き様にも、金にもならないのだろう。
社会を真面目に生きている運転手に対する、大きな侮辱であることすらも忘れてしまっている。

高給を得るのが、一流という風潮がある。
困ったことに、人格も一流と錯覚されてしまうのも世の常。
今、社会に格差があろうがなかろうが、運転手の視座を持てば楽しく生きられるんじゃないだろうか。
物語は抑えた表現で淡々としていたが、行き過ぎた個人主義を風刺しているような作品だった。
見返してわかったことは、トム・クルーズの魅力を最大限引き出したのは、ジェミリー・フォックスだ。

道中、ジャズクラブのオーナーを暗殺したシーンが印象的だった。
「楽譜にとらわれず、臨機応変にやる。 ジャズと同じように、今夜の仕事(暗殺)も即興だ…」
殺し屋の正体は最後まで謎であったが、秘められたメッセージは 「無関心」だったと思われる。
個人的には、あれほどの腕前がある殺し屋が、なぜ運転手を殺らなかったのか?
そこが考えどころではないだろうか…

わかったことはただひとつ。  彼はジャズに詳しかったということだけ…
posted by GIG at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | Cinema Fan | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
三連休、見てみようかな。
トム・クルーズの悪役ぶり、興味あり。
Posted by とうふ男 at 2012年11月23日 10:27
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