大人になるにつれ、銭湯の呼び名は大方、風呂屋 サウナ 健康ランドの三段活用となる。
一段目の風呂屋は子どもの頃、小銭を握りしめて通ったところ。
腰にタオルを巻きはじめると、近所のおじさんから決まって「毛がはえたんか」と冷やかされた。
二段目のサウナこそ、独身時代の王道だった。
「サウナ行こうぜ」の響きが、大人の仲間入りをはたしたような気がした。
サウナ自体は苦手だったが、スタイリッシュなアーバンなフロアーでガウンを着て、リクライニングシートに寝そべりながら、日経新聞に目を通す。
サイドテーブルには、ビールとタバコ、体には毛布を軽くかけて、衛星放送を見ながら長時間過ごせる。
途中、予約したマッサージの順番がきたり、小腹が空けば食事を頼んだり、至福な時間も保てる。
疲れた体を一日かけて癒せる、自由な空間が大人の居場所だったりした。
三段目の健康ランドは家庭を持ち、子どもの世話もしながら、家族だんらんで寛げる快適な空間。
僕は、親孝行する場として、背中を流したり食事もしたが、今ではその必要はなくなったけどね。
こうして年代(年齢)によって、利用場所が変わってくるのが、大きな名称の括りである銭湯。
銭湯(風呂屋)は、貧乏くさいイメージがつきまとうが、それこそが日本人のルーツでもある。
自宅の風呂も手軽でいいが、たまには湯船で手足を大きく伸ばせるような銭湯は心も落ち着く。
街角の銭湯で、生活をやりくりしてきたことを思い起こせば、今も続く昔からの街角文化を大切にする ことは、過去を絶やさない意味でも大切かと思う。
そんな三段活用を一通り経験した今、僕は昔ながらの風呂屋に回帰したのである。
2012年10月02日
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