今になると、エイドリアンのような女性もいいよね。
ロッキーが所属するジムの近くに、エイドリアンが勤務する小さなペットショップがある。
彼女の外見は地味で、極度の人見知りな上、お世辞にも美人とはいえない。
内向的でいつもオドオドして、誰からも気にかけられないタイプ。
そんな彼女に会いたさ見たさ、店へ立ち寄るロッキーはエイドリアンのことが好きなのだ。
初めてのデートは、閉店後の10分だけ貸し切ったスケートリンクだった。
危なげに滑る彼女を横で見守りながら、おたがいのことを不器用に語り明かす。
そんなふたりは、どこか似たような境遇に惹かれ合いながら、今までの緊張がすっと氷解していく。
フィラデルフィアの寒くて長い夜、孤独じゃなくなったふたりは静かに結ばれた。
僕はエイドリアンを愛おしく感じる。
今の時代、何でも明け透けにしてしまう女性が多い。
真実をあれこれと引き出しては平気で相手を傷つけたり、些細なことに感情を開けっ広げにするような 女性は少し苦手である。
どこか謎めいたところがあって、ひとりで過ごす時間を大切にするような女性の方が気になるものだ。
「秘すれば花」という、いい言葉があるではないか。
僕は女性には好きなことをさせるけど、わりあい古風な考え方を大切にしているところがある。
男の疲れた表情に気づいてくれたり、過去の傷に触れたりせず、自然とそばにいて癒してくれるタイプ。
それでいながら、映画の中で観客席からリングの人ごみをかきわけて、「愛している」とストレートに表現した強さを見たときは感動した。
一見、地味に見える底辺にこそ、実は男と女の真実があるのではないだろうか。
僕がそう思うようになったのは最近のこと… 男としては、遅咲きの方かも知れないね。
2012年06月10日
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