2012年02月26日

ハードボイルド

去年、映画館で観た、韓国映画 「アジョシ」 がビデオ化されていた。
次回、もう一度、見返そうと思いながら、ビデオ店を後にした。

松田優作の死後、「日本のハードボイルドに、夜明けがくるのか…」と囁かれていた。
結論から言えば 「ない」と思う。

そう思う理由は、世間が求めていない。
彼が演じたハードボイルドは、目的のためなら手段を選ばない、とても自意識過剰な男役だった。
主演映画「蘇える金狼」では、大企業の平凡なサラリーマンが、会社を相手に強引な駆け引きを仕掛け大株主に出世し、社長令嬢までも頂き、トップに伸し上がったストーリーである。

それも、女を自分の思い通りに操り、用がなくなれば使い捨てにするような男。
あの頃のハードボイルドは、己の目的を達成するためには、人間性を欠いた非情性を持っていた。
そんなハードボイルドを、現代で誰が支持するかって話であり、現に名称は死語と化してしまった。

現代のハードボイルドは、利己的な野心や私腹を肥やすだけの夢には、感情移入できない。
心の傷を隠して、誰かを守るために、野生が蘇えるストーリーが値打ちになったと思える。
「アジョシ」を始め、似通った価値観をもつ映画に、「レオン」、「マイ・ボディガード」がある。

主演らは、子供によって生きる希望を取り戻し、大切な命を守るために、壮絶な復讐劇をはじめた。
松田優作のテレビドラマ「探偵物語」最終回でも、仲間の殺害に関わった者、ひとりひとり順番に捜して報復を終えたが、生きる悲しみを背負った先が死だった。

これらの作品には、新しい「ハードボイルド像」が予言されていたような気がする。
自分の命を引き換えにしても、守るべき者は守る、孤高な人物像が見え隠れしている。
それは親が子を想う気持ちに、「子供さえ助かれば、俺の命なんて惜しくない」と言うのと同じだ。

だが、現実社会、本当にそれができる人は、どれだけいるのだろうか。
守るべきわが子を虐待していたり、犯罪に利用して金儲けの道具にしたり、理不尽な要求を振りかざすだけの保護者などの報道が切れない。
そういう、ふつふつと沸いてくる怒りが、ハードボイルドに駆り立てられるときがある。

ハードボイルドの夜明けは、韓国に陽が昇ったようである。
posted by GIG at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | Cinema Fan | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
50から、ハードボイルドになるので、ヨロシク!
Posted by Gメン49 at 2012年03月02日 10:59
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