2011年11月04日

縁故入社

大して親しくもない人から、聞くに堪えない自慢話をされたことは、誰にでも経験あるだろう。

本人はその意識がないため、なおさら始末が悪かったりするものだ。
その人を利用するなら別だが、まあ、近寄らない方が無難であろう。

特に会社の役職自慢、仕事の成果自慢など、周りの支援者がいたからこそなのに、自分ひとりの能力だとして語りたがるのは、本当に男の悪い癖である。
それだけ、自分への執着心が高いことは、裏を返せばコンプレックスの表れだと思う。

古い話で、学生時代の仲間数名と飲んだときのことだ。
そのうちの一人が、やたら僕を意識したような口調で、遠回しに自慢話を聞かせようとする。
雰囲気を壊したくないので黙っていたが、仲間のひとりが僕の小さな変化に気づき、耳打ちしてきた。
「わかってやれよ… あの頃のおまえに嫉妬してるんだよ」
仲間から嫉妬される覚えなどないし、仮にあったとしても、「どのときの、どれなんだよ」と聞きたかったが、彼の一言で溜飲が下がったことは間違いなかった。
友人は、その男のコンプレックスを知っていたと思うし、男は嫉妬する生きものなんだと教えてくれた。
もう一度言うが、人から嫉妬される覚えはないし、自慢できる学生時代ではない。

あれから、数十年後…
小口の取引先ながら、自慢話の好きだった彼に仕事を依頼した。
こう見えても、決定的な打撃がない限り、人間関係は大切にしてきたつもりだ。
だが、再会の挨拶もそこそこ、彼から出てきた言葉はこうだった。
大口の契約を獲り、社内の優秀営業マンとして、海外へ研修旅行に出かけたこと。
愛娘が生徒会か何かの役員に選ばれて、文武両道の優等生であるとかなんとか。
親に頭金を出してもらった、自宅の敷地面積や間取りを、ご丁寧にご説明してくれたこと。
肝心な仕事の話よりも、質問にない会話の方が先行してしまい、時間枠で打ち合わせが終わらない。
好意的につき合いたいが、これじゃ仕方あるまい。
ひとこと言わせてもらった… 少し青ざめていた。

数十年ぶりに、仲間の言葉を思い出した… 「わかってやれよ」
そんな彼、「縁故入社」であることだけは自ら口外していない。
心配するな、俺は誰にも言わないからさ…

今から数年前、夏の出来事である。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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