2011年09月15日

素顔のままで

芸術の秋…  芸術の志向は人それぞれ、音楽や演劇、版画や彫刻、絵画に写真だったりする。
僕の中の芸術は、「芸術を見る人の素顔」である。

22歳の秋、あどけなさが残る年下の女性から、新潟伊勢丹で開催されていた「二科展」へ誘われた。
ふたつ返事で応じたが、内心は年寄りの趣味に思えて、あまり気乗りしていなかった。
そんな程度なので、秀作を目にしていながら、一枚一作すら記憶に残っていない。
しかし、僕の目を惹きつけたのは、彼女の素顔だった。
その目は作品をじっと見つめ、異様に輝いているようにも見えた。
お世辞にも美人ではないが、観賞に集中しているときの目がたまらない。
それまでは、いたずらっぽい笑顔しか見せなかったが、別角度から見た意外な素顔に釘付けとなった。

誰でも、こんな経験があるんじゃないかな…
喫茶店で彼女と待ち合わせをしていたとする。
先に来ていた彼女は、僕が来るまでコーヒーを飲みながら、文庫本に目を落としている。
遅れて来た僕は、遠目から彼女を探して近づくが、読書に夢中で僕の存在に気づかない。
その読書をしているときの素顔が、とても知的で美人に見えたりする。
僕はその席に座りながら、「ヨォ!」と声をかけると、彼女はゆっくりと本から顔を上げてから、小さな声で「あぁ…」と微笑んでこたえる。
これも、別角度から見た、彼女の新しい素顔だったりする。

女優なら本番の姿よりも、楽屋の片隅で台本を読んでいたり、台詞を覚えている素顔に惹かれる。
そうだとすると、男は女性の素顔の奥ゆかしさに、興味を抱く生き物なのかも知れないね…

当時の僕には、恋人でもない彼女を表現できるボキャブラリーはなかったけど、今思い返せば、彼女が普段見せなかった素顔に、「秋の芸術」を感じたのは間違いなかった。
posted by GIG at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
素顔のままがいちばんスキ!
Posted by セントチワワ at 2011年10月07日 16:10
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