2011年08月04日

Portrait In GIG

どこのバーでも、3回来店すれば、こちらに憶える気はなくても、お客さんの顔や嗜好は憶えてしまう。

はじまりは、何でもないようなことから、次第に年月が経っていく。
ことさら、カウンター越しでは、長年の会話が重なるので、お客さんのポートレートが仕上がってくる。

店の隅のカウンターに、文庫本が整然と並んでいる。
その中に背表紙の厚みが目立つ、「ポートレイト・イン・ジャズ」が一冊雑じっている。
本の内容は、画家の和田誠が、世界的に有名なジャズミュージシャンのイラストを複数名描き、作家の村上春樹が、そこに独特な紹介文章を綴った合作文庫である。

僕がこの本を、「個性的だな」と思ったのは、構成がジャズのカタログ本になっておらず、互いの著者が強みを持ち寄り、別な角度からジャズの人物像を書き上げている点にある。
そこには、ジャズの技術や解説など一切なく、イラスト(肖像画)と、文章(肖像文)の組み合わせだけの構成で、レトロなんだけど、見えてくるジャズの風景を新しく感じさせる秀作だ。

当店にも、「ポートレイト・イン・ギグ」は存在している。
そこには、お客さんの顔と名前、愛飲酒、簡易プロフィール、ここまでの関わり合いなど、ガッチリと記憶にインプットされている。
僕の中の人物たちは、今だに変わらぬ存在もいれば、思い出として影が薄らいでいる存在もいる。
しかし、その本は誰も読むことはできないし、誰にも読ませる訳にもいかない。
なぜなら、僕の頭の中にだけ存在している、「ポートレイト」だからだ。

そんな、【 Portrait In GIG 】は現在、4冊目の途中に差しかかっている。
posted by GIG at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
噂のギグブログをN美さんから聞いて見てみました。マスターワールド爆発。そのまんまですね。ブックマークしました。
Posted by 劇団キムチ at 2011年08月07日 20:23
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