2021年01月06日

心得酒場

新潟県 「 Go To Eat 」 キャンペーン (お食事券) ご利用可能登録店です。

時を巻き戻し、仕事始めだった4日。

その夜は、午後10時を過ぎても、お客さんがひとりも来なかった。
例年なら、新年会シーズンと重なり、新年の景気づけに立ち寄る客も多いが、これではため息ひとつも吐きたくなる。

そんな気分の中、新年最初のカウベルを鳴らした客は、年男 「72歳」 を迎える長年のお客様。
新年のご挨拶もそこそこ、いつもの 「ハーパーソーダー」 に 「オリーブ」 を添えて差し出す。
普通なら、同じ分量で2杯から3杯と続くのだが 「健康の齢」 (よわい) は刻々と進んでいる。
注ぐ分量を加減するようになるのは、健康をおもんばかる気持ちが手心に宿るからだろう。

僕の仕事は、ほどよく酔われた 「お客様の時を見守る」 こと。
お客様の顔色を見て、呂律を聞いて、足運びを見ながら、酒の提供を判断する。
時には 「今夜はこのあたりにしておきましょう」 「明日の仕事に差し障りますよ」 など、面子を潰さないように、やんわりと制止するのも仕事の内。

商売だけを優先すれば、たくさん飲んでもらったほうが、売り上げになるからありがたい。
中には 「体を壊すまで、飲ませてやれ」 と、悪癖な商売をする輩もいることも事実。
口当たりのいい、ホワイトリカーを巧みに混ぜて、潰そうと思えばかんたんなことだ。
しかし、商売である前に人間であり 「金よりも人を大事にする」 のが、商売の鉄則。

酒を提供することは、安心を提供することで、絶対に 「安全な場所」 でなければならない。
僕も昔ほどではないにせよ、酒場でひとり過ごすことも多かった。
その場合、客層の良し悪しは前提にして、酔うことは無防備になるから、店のマスターが泥酔客の対応ひとつできない、いざというときの腕っぷしが心もとないようでは、そこで安心して酔えない。

そのためには、店のマスターが 「医師」 となり 「判定員」 になり 「門番」 (用心棒) でなければ 「酒場の安全」 は保障されず、限度を越えて飲ませないことも仕事。
それが、長年のお客様であるほど、僕の中に培われた 「カルテ」 が、自然と 「愛ゆえの心」 が働く。

つまり、愛をもってお客様を見つめることが 「商売の心得」 になると思える。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする