450ページにおよぶ、長編ノンフィクション 「真説・長州力」 を読み終えた。
特段、プロレスラー 「長州力」 に思い入れはないが、何を隠そう、僕は 「プロレスファン」 だった。
過去、長州は 「革命軍」 「維新軍」 「ジャパンプロレス」 と、軍団を結成し、革命戦士を名乗った。
しかし、自らがレスラー兼社長として旗揚げした、最後の団体 「WJ」 では、放漫営業で崩壊した。
これはだれもがいうことで、団体のはじまりは 「俺たちは一枚岩だ」 と結束の固さをアピールするが、数年後にはことごとく解散してしまう。
「前田日明」 が率いた 「UWF」 が、何派に枝分かれしたときも、同じように理想と現実がかい離し、捨て鉢な感情を吐いて物別れして、結束が固いほど亀裂が入ると意外なほどもろいもの。
「反主流派」 のような志を持つ男同志が共鳴し、カリスマにケンカを売っていたころが団結力を持つも、その次の目標を見失ってしまうと 「一枚岩」 を誇っていた、選手間にもすきま風が吹いた。
プロレス界においては、その構図を例外なく繰り返してきた。
本の後半は少し読み疲れて、はしょるページも多かったが、一抹の寂しさも残る行もあった。
解散せざる得ない外因もあるが、その前の人間関係が崩れていた内因こそ、最大の原因だった。
本の執筆にあたり、長州の盟友 「マサ斉藤」 は取材に一切応じず 「アントニオ猪木」 も口を濁す。
「谷津嘉章」 は否定的な語り口 「キラーカーン」 は毒舌でまくしたて、弟子の 「佐々木健介」 とは、絶縁状態で 「分裂後の真実」 は、誤解と闇に葬られている。
唯一、維新軍団の名参謀 「アニマル浜口」 だけは、だれの味方をすることなく、リングを降りた。
中には、事態を客観的に見ることのできる、知性を兼ねそなえたレスラーもいたのであろう。
最初は理想を同じくした一枚岩であれ、次第に考え方に溝ができ、修復できぬまま終わった。
最後は刀折れ、矢が尽きた印象だった。
理想を掲げて、船出をしたときが 「美しきピーク」 であろうか。