17日 午後1時30分。
バスの中から見た、本町の電光温度計が 「27℃」 を示していた。
それまで着ていた、麻のジャケットを脱いで、膝の上においた。
午前中、妻の定期検診に病院へ付き添っていた。
夫婦50代にもなれば、病気の一つや二つは経験するものだが、オレは至って不死身だ。
それこそ、ささえあいを通して、ひとつ屋根の下である。
会計を待っている間、隣の高齢夫婦の会話が可笑しかった。
亭主が女房に 「何時だ」 と聞くと 「今?」 と答える。
すると 「明日は何時かと聞く者がどこにいる。今の時間に決まっているだろう」 と怒り口調になると 「ああ、今ね、12時・・・」 と、素っ気なく伝える。
女房の 「今」 なる意味が、冗談なのか、ボケなのかわからず、笑いを堪えた。
妻にこの夫婦のやりとりを耳元で伝えると、久し振りに院内で顔を見合わせて笑えた。
この笑いこそが、これまでの軌跡になる。
午後2時過ぎに帰宅し、仮眠をとるため、窓を半開にした部屋で横たわる。
夕方5時近くになると近くの中学校の体育館から、例年の万代太鼓の音が5月の空に鳴り響いてきた。
ジャズの場合、いい楽団に共通していることは 「音が大きい」 こと。
ダイナミックな躍動感、圧倒的なドライブ感でもいいが、全員の一体感が音の大きさに表れるんだ。
それだけ、技術に自信がある証拠だし、物怖じしない姿勢こそ、雷鳴の如くその音をとどろかせる。
今年も 「万代太鼓」 が、夏本番で色彩と響きをもたらすであろう。
太鼓と笛の残響をあとに、今日2回目のシャワーを浴びて、出かけの支度をはじめた。