2018年03月28日

遠い景色

街中で顔にあどけなさが残る、新社会人の姿を見かけるようになってきた。

18〜23歳の成長過程において、その見かけは劇的に変化してくる。
その変化、これから何色にもなれる可能性を感じた。
過去、その姿と似た色合いを感じる、17歳の少年を思い出した。

30歳の頃、年上の女性上司の息子が反抗期の上、何が原因か 「高校を辞める」 とまで言い出して、母子家庭であるがゆえ、むずかしい胸の内を抱える息子に、少し頭を痛めていた。
ある日 「仕事以外のことで、悪いんだけど」 の前置きから、息子と会ってほしいと頼まれた。
「母親に言わないのに、見ず知らずの俺に言いますかね」 と返したもの、結局は引き受けてしまった。

後日、困惑した彼をクルマの助手席に乗せて、夜の首都高速へドライブに連れ出した。
最初は問いかけにしどろもどろだったが、次第に緊張も解けてきたので、新宿4号線のPAで休憩した。
「好きなモノを飲めよ」 というと 「何でもいいす」 と答えたので 「自分の飲み物も決められないのに、学校をやめて何をしたいの」 と口火を開いたら、ようやく話がかみ合ってきた。

彼はどこかで、ボクに対して 「母の部下だから、俺には何も言えないだろう」 と高を括ってたようだが 「ガキの子守」 をしにきたわけではない。
母には反抗的な態度に出るが、男に変なハッタリなど通用せず、男の怖さも知らない温室育ちだ。
まして、今のように手をあげることに過敏ではないから、態度によっては軽く手も上げることも辞さない。

そんな、彼の言い分を否定することなく聞いたら、たどたどしくも思いを打ち明けた。
翌日、言葉を選んで、一部始終を女性上司に報告したが、悩みの本質は 「寂しかった」 ようだ。
これがきっかけに、彼とは熱帯魚の飼育方法を教えてあげたり、好きな女の子の話を聞いたり、時には会社でのお母さんのお仕事ぶりを語ってあげたり、その関係は遠からず近からずで高校を卒業した。

今ごろ、どこでだれと何をしているのか、たどる術はないが、ずいぶん 「遠い景色」 になった。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする