彼は24時間、365日、静かな病床で無機質な天井を見て過ごしている。
先週、田園風景にある終身医療病院で余生をおくる、高校時代の友人の面会へ行ってきた。
病に倒れて、9年が経過した。
彼の母親からの手紙で思いがけない現実に 「心が震えた」 のは、2年ほど経った頃か。
最初は多くの人が頻繁に、お見舞いに訪れていたであろう。
しかし、ここ数年、だれも病室に来た形跡がない。
年老いた母親とひとり息子の姿を見れば、心情的に気持ちが重くなるのはよくわかる。
だけど、その姿から目を背けたら、支えなかった後悔を一生持ち続けることになるだろう。
青春時代の友人として、一緒にインターハイにも出場した戦友として、社会人になっても節目で連絡を交わしていた彼とは絆を全うしたい。
だが、限度がある。
感傷が高ぶり、できもしない口約束はせず、できることだけをやればいい。
ボクにできることは年に一度、彼に会いに行くことを友人の証にしており、それ以外は力になれない。
病床で懸命に生きる友人の姿を見るたび、自分の悩みや不安なんて、ちっぽけなもんだと教えられる。
また来年 「向日葵」 (ひまわり) を持って会いに行くし、それはボクのためでもあるんだ。