2017年01月23日

どんな人物

先日、芥川賞と直木賞が発表された。

受賞者は同世代の男女で、自身の過去を色濃く反映させた、青春群像小説だという。
その一人、直木賞 「恩田 陸」 (52歳) は、それまでの実績からして 「忘れられていた受賞者」 の印象があるが、要するに 「継続は力なり」 であることを証明した結果であった。
それも、自らを 「酒好き」 と、豪語しているところが気に入った。

過去、同じ直木賞を受賞した 「向田邦子」 「山口洋子」 も、酒好きで知られ、何を意味するかというと酔うことで才気が磨かれ、人との雑談を通して、見方と考え方にオプションがつくと思える。
それに、経験のないことは、そうそう書けないでしょ。

例えば、女性経験のない、童貞の作家が 「長い髪をアップにした、肩からうなじにかけた首筋には、 女そのものが匂っていた」 だの 「柔肌に舌をはわせた」 なんて書いていたら、コレ、引用でしょ。
もちろん、経験になくても優れた感性はあるだろうし、書物や取材を通した執筆も疑似体験だろうが、 基本的に経験してこその 「センテンス」 であるべきだろう。

早熟なりに、恋愛小説を描きたいと思うなら、早くキスを経験すればいい。
その味、チェリーなのか、レモンなのかはわからぬが、少なくても感想は持つだろう。
「温かくて柔らかかった」 「頭がポッーとした」 「キスで気持ちを伝えた」 とか、それでいいんだ。
それが、思い通りにいかなかったとしても、経験そのものがきっと大切なことであってさ。
そして、大人になったら、自然に舌をからめて、気持ちを交わすことを覚えるんだ。

ウン、そんな過程を描ければいいんじゃないかな。
露骨に思われただろうが、男が分娩台に乗った女性の気持ちを書けないように、それぞれの経験でしか描けないことはあるからね。
もし過去を描きたければ、記憶を整理する必要があるし、未知なことは本を読んだり、雑談をしたりと、いろんなオプションをつけられるが、経験と会話なくして、絶対に自由な文章は書けない。

本はいろんな世界を教えてくれる。
その意味で、女性は女性にしか描けない、少し濡れた感じの目をして、物事を見る力がある。
お酒というのは、内面を少し開放して、自分を別角度から立て直すための媚薬でもあると思うんだ。
それを 「私、作家を目指しています」 と 「よいこの見本市」 みたいな文章のお勉強だけして、神経をすり減らしても、題材となる経験がないんだから、プロの作家なのに読んでつまらない本もあるからね。

ボクは 「ノンフィクション志向」 なので、ほとんど純文学は読んでないが、最近は余裕ができたのか、オプションに幅が広がった気もする。
だが、元々の学識がないから、その入口は単純なもんだ。

それでも、いい本は読み終えた後、新しい出会いの気分に浸れるから 「どんな人物」 か興味がわく。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする