正月の雰囲気も、ここまでであろう。
昨年末、最終営業日の30日の開店前。
毎年のことながら、母は軽くもない、酒や手作りの惣菜を抱えて、正月料理に数品添えてくれる。
ありがたいのだが、年の瀬の街は人で混雑しており、天候も悪ければ、その足元もおぼつかない。
また、そう近くもない街から、徒歩で来るので、高齢の体力では不安もある。
きっと、あの角を曲がれば店があると、歩く気持ちを奮い立たせているのかも知れない。
その気力は続くうちならいいが、ムリしてるんじゃないかと、息子として全うな感情もわく。
決まって持参するのは、切り干し大根と数の子を醤油で煮た、一品家庭料理。
コレと言って、好物でもないが、託した思いと、台所の姿は目に浮かぶもの。
親子だから、少しぶっきらぼうにはなるが、その味つけの薄さに、母も歳をとったことを感じた。