2016年10月21日

十八番

ある日の夕方。

買い物から帰宅すると、リビングのミニコンポから、高橋真梨子の 「はがゆい唇」 が流れていた。
妻の意思で音楽を聴くのは珍しく、どういう風の吹き回しか聞くと、ボクの母から借りたCDだという。
ケースを手に取ると、他にも 「昭和の歌謡大全集」 みたいに、さまざまな名曲が収録されていた。

半年ほど前に、母と 「カラオケタッグ」 を組んだようで、たまに駅前のカラオケ店に出かけている。
そのレッスンを兼ねているのか、たまにキッチンから、鼻歌も交じって聞こえてくるが、歌謡曲音痴の   ボクでも 「はがゆい唇」 は知っているというか、知ることになってしまった。

昔、会社の上司が、カラオケ好きな女性で、たまに 「タンバリン役」 でおともしていた。
だが、上手ければいいが、コブシの効いた 「ハスキー音痴」 だから、正直つらいものがあった。
そのときの 「十八番」 (おはこ) が 「はがゆい唇」 なわけ。

だから、この曲を聴くとあの上司が思い浮かび、電子目次本の 「は行」 を人差し指でハードタッチする姿を見ては 「あー、次、来るぞ‥」 と、椅子に置かれた、フラッシュタンバリンに指を通した。
人と歌の印象は、いつのまにか植えつけられ、少し怖いものがある。

だけど、よかった。
型通りの嫁と姑ではないが、仲良く誘い合えて、私生活を充実させているんだからさ。
ボクは 「ケッ!」 と、吃音を吐きながら、内心は微笑んでいられるんだからね。

そう言いながら、泰葉の 「フライディ・チャイナタウン」 が流れたとき、ボリュームのつまみを上げた。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary & Social | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする