2016年10月15日

Ayumi Koketsu (As)

アルトサックスは、小刻みなブローを次々と繰り返し、その頂点で目一杯にリードを震わした。

その熱演にドラムが応えるかのように、左右左右のスネアの連打で、右足でシンコペーションを踏むと、アクセントはド級の破壊音で、トップシンバルを打ち鳴らす。

その強烈なグルーヴ感に圧され、ボクも客席3列目から 「 Yeahhh‥! 」 と、メンバーをあおる。 

10日 「新宿ピットイン」 (夜の部) に、初めて妻を連れて入った。
出演  「纐纈歩美トリオ」
メンバー  纐纈歩美 (As) 生沼邦夫 (B) 井上功一 (Dr) (ピアノレス・トリオ)

彼女は21歳でアルト奏者としてプロデビューし、5枚目のリーダーアルバムを5月に発売した。
父親はトロンボーン奏者という、現在28歳の才女。
名前は知りながら、聴いたことはなかったが 「ビ・バップ」 を基本スタイルに、自分の音を目指している本気を感じさせられた。

客席は補助いすを並べれば、ゆうに100人は収容できそうなスペースだが、惜しむことなかれ。
観客は僕らを含め10人前後だが 「そんなことはどうでもいい」 ジャズの登竜門。
このステージで演奏できるのがステータスであり、その実績こそが冥利となっていく。
耳が肥えた客も多く、ジャズを聴く耳のない100人で埋まるぐらいなら、聴ける10人でいいというほど、他のジャズクラブとは一線を画し、甘美を省いたリスキーな空間だ。

元、プレイヤーズのギタリスト 「松木恒秀」 が、その心境をこう述べていた。
「暗がりの客席のどこかに、同じミュージシャンがいるんじゃないかと思うと、ヘボな演奏はできないと、気が引き締まる思いで演奏をしていた」 と。

ベテランピアニスト 「辛島文雄」 は、自らの耳で昼の部に出演している若手の上達度を確かめに来てメンバー交渉していた話は有名で、知るところでは 「藤陵雅裕」 「井上叔彦」 などそうだ。
地元新潟、妙高市出身のドラマー 「小松伸之」 も、そんな一人じゃないかな。
それを裏づけるかのように、当日のファーストセット終演後、後方の目立たぬ席にピアノの 「板垣光弘」 ギターの 「三好功郎」 の顔を見かけた。

初めて聴いた 「纐纈歩美トリオ」 のドラマー 「井上功一」 は抜群に良かった。
安定した重量感で叩き出す、グルーヴ感に迫力があり、そのテンションの高さが一段と彼女に隠された野性味あるブローを引き出して、思わず 「 Yeahhh‥! 」 と叫んだのは、もう久しぶりだよ (笑)
そして、あらためて 「ドラマーがジャズをおもしろくする」 持論は不変だった。

自分のキャリアに磨きをかける意味では、自由度の高い 「レギュラートリオ」 は絶対に必要であって、リラックスして聴けるジャズもいいが、若いときは玉汗が流れる、緊張感のある演奏もしないと、ほどよくつまらない演奏に終始するようになるからね。
緩急のある経験を積み重ねていけば、どんどん良くなるし、それは晩年に磨きがかかると思うんだ。

アンコール曲 「星影のステラ」
帰路、新宿の迫力あるネオンを通して、纐纈歩美のしなやかな音色が、頭に心地よく鳴り響いてきた。 
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Jazz & Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする