「71年前、雲ひとつない明るい朝‥」 からはじまった、オバマ大統領の17分にも及んだスピーチ。
それぞれ意見はあろうが、前向きな論調が多くを占めて、歴史的に一定の成果を挙げたと思える。
長年、日本とアメリカに横たわる認識の溝が被爆者と被災地、ひいては日本人の心をかきむしったが、両国は相手国の立場や視点に立ったからこそ、広島訪問が実現したのだと信じたい。
その上、政治的な思惑を勘ぐりだしたら、もうキリがないだろうし、まともな話し合いすらできない隣国もありながら、初めて追悼した現職大統領 「バラク・オバマ」 は、世界のリーダー史に名を刻むだろう。
印象的だったスピーチの中に 「いつか証言者の声は聞けなくなるが、1945年8月6日の記憶は風化させてはならない」 とし、締めくくりには 「広島と長崎は核戦争の夜明けではなく、道義的な目覚めのはじまりである」 と力強く述べた。
謝罪こそされなかったが、被災地で追悼をし、被爆者と向きあい、核廃絶への決意を述べたのだから、戦後71年にして、日本も寛容を示した 「歴史的な瞬間」 だと感じた。
この世から、核兵器がなくなることは、まず考えられない。
人類の歴史を見れば 「理想」 と 「現実」 が一致するほど、そんな甘いもんじゃない。
それでも 「空想ではない理想」 に向けて、全世界が歩み寄れたら、素敵だと思わないか。
この日、広島から全世界に向けて、核廃絶のメッセージを発信できたんだから。