2016年03月29日

魔法の時間

小学校時代の友人に、こんな男がいる。

職業は実家を継ぐ形の個人事業主で、毎日の起床は午前3時とその朝は早い。
それはボクが店の看板を消すのと近い時刻である。

年に数回、ボクら夫婦と彼と同い年の恋人、または他の友人も交え、日曜の夜に一席作ることがある。
口開けは、夜の7時ころが多く、同年代だけに 現在・過去・未来 と小刻みに会話はつむがれていく。

だが、夜の9時を少し回ったころになると、その輪からひとりだけ離れてしまうことになる。
本当はまだいてほしいし、彼もまだいたいのだろうが、そのあと仕事があるから仕方がない。

慣れた顔をして、モノさびしさを消すあたり、自分に厳しくも誇りを持っているのだろう。
途中で退席して、いつも店の外まで見送るのは彼女の儀式になるので、ボクらは邪魔にならないように鎮座したまま 「またな」 で軽く手を振る。

こうして友人が一人減った状態から、また飲み続けるんだけど、この瞬間 「シンデレラエクスプレス」 (魔法が解ける時間) は終わり、残された彼女は信頼された形で座持ちすることになる。

入籍こそしてないが、大人の交際には、大人の理由があり、男にも好かれるいい男だ。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする