10日 サッカー 「日本代表 対 ジャマイカ」 戦の舞台となった新潟ビッグスワン。
そのために、多くのタクシーが新潟駅南口へ待機して、万代口方面は台数が不足したせいか、 空車を探すのも一苦労だったらしく、どこのホテルも満室状態だったとか…
だから、当店が忙しいとか、暇だとかではなく、ほとんど関連性のない、いつもの金曜日であった。
いや、寧ろ、こうじゃなきゃ、バーとしての特性にはならない。
仕事から解放され、街の喧騒から離れて、ようやく見つけた店のテンションが、高すぎたら興ざめだ。
一見客で店を探すのは結構大変だが、ここは自分の勘を信じるしかない。
だからと言って、店の雰囲気や構造を、堅苦しく考えすぎてはならない。
無口なマスターがグラスを磨きながら、カウンターにはハードボイルド風の客がコートの襟を立てて、 マイルス・デイビスの 「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」 を聴きながら、バーボンをあおっている姿は、田舎役者が見る夢であってさ…
理想の店内とは、適度な音楽が流れており、お客さん同士の冗談や高笑いがこだましてたり、 低音の話し声の合間にグラスの乾いた音が響いていたり、精神的、物資的の両面をもっていること。
ビル・エヴァンスの 「ワルツ・フォー・デビィ」 における、あのノイズ感がほど近い。
静寂的な環境だけを望むことは、感傷的な思い込みでしかない。
それに、人の息吹をBGMにして過ごせないようでは、根本的な部分が間違っていると思う。
愛される音とは、ロマンチックな音楽でも、グラスの氷が揺れる音でもなく、会話の笑い声である。
なぜなら、笑いは人間だけがもっている感情で、笑うことで元気になれるのは、高等動物の証でしょ。
3日後の台風19号で、すっ飛ばされてしまうような小さな店だけど、お店が本当に欲しい音とは、 粋な大人の笑い声や周辺のノイズ感で、それこそが 「ジャズー・バー」 としての特性である。