2014年06月22日

精神注入棒

街中を自転車で走行中、タイヤの空気圧が気になり、周辺の小さな自転車店で修理をお願いした。

年配の店主に状態を伝えて、パンク修理を待つこと10分ほど。
お世辞にも広いとはいえない店内を見渡すと、「親父の小言」めいた達筆な文章が所々貼られていた。
山本五十六 「男の修行」をはじめ 「海軍五省」など、社会人なら目にしたことがあろう数々の教訓。

おもしろいところでは、「いつまでも あると思うな 親と金」
それから、「うそつきは 泥棒のはじまり」 なんて訓示もある。
これら、だれもが教訓として、一度は聞かされたことがあろう。

あっ、なるほどな…  学校が近くにあるので、自転車通学している生徒への戒め(いましめ)か。
極めつけは太い毛筆で、木製バットに 「精神注入棒」と、書かれて立てかけられてあるところ。
今どきこういう、教育的で気概のある親父がいると思ったら、なんだかうれしくなってきた。

正面の額を見ると、元内閣総理大臣の森喜朗から送られた感謝状が飾られている。
文面によると日本海軍にいた経歴を持ち、大正25年生まれというから御年89歳の店主である。
勘ながら、元日本海軍のパイロットかもしれない。

第一印象は怒れる店主の形容がふさわしく、非礼な客には容赦なく喝を浴びせる気骨が漂っている。
それでいながら、人として当たり前の礼儀を知り、礼儀には礼儀で返す資質も備わっている風格。
僕は昔の日本男児が、そのまま晩年をむかえているような人が好きだ。

それこそ、日本のために敵国と生死をかけて戦い、仲間を失った悲しみに暮れ、自分が生き残った   辛さに苛まれ、ここまで生きてきた長老に敬服するのは、「誉れ」のようなものを感じてしまうからである。
うまくいえないんだけど、精神注入棒に本物のプライドを感じるとでもいうのかな…

自転車がパンクしたら、またここまで修理をお願いしに行くだろう。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする