2014年04月17日

眉村卓(作家)

僕らの世代、「音楽・映画・書籍」は、青春の三拍子だった。

南万代で古本を眺めていたら、懐かしい背表紙「閉ざされた時間割」(眉村卓)を見つけた。
思わず手に取り、ページをパラパラめくると茶色に変色した紙面から、古い押入れの匂いを一瞬感じた。
本の所々にシミや折目はあるが、それも古書の風情というもの。
その手垢のあとは、まだ指先に脂があるころの、少年少女たちの指紋に違いないだろう。

中学生のころ、作家「眉村卓」のSF小説は何冊も読破した。
代表作には「なぞの転校生」をはじめ、「地獄の才能」「まぼろしのペンフレンド」など、後に映像化された作品も少なくはない。
個人的には「24時間の侵略者」や「つくられた明日」、「深夜放送のハプニング」も代表作になると思うがどれか一冊推薦するとしたら、「ねじれた町」をあげるだろうな。

全作品、物語の相関図に共通点も多く、主人公は平凡な中学生の男子生徒。
パートナーとして不可解な事件に挑むのが、幼なじみで同じクラスのスポーティーな女子生徒。
家族は団地の3人暮らしで、母親は専業主婦で心配性、父親はサラリーマンで理解のある行動派。
事件の展開を整理する場面は、家族で食卓を囲んでいるときの会話がフックとなる
そこで必ず、「よし、お父さんが明日調べてみよう…」と伏線が張られ、場面は次の日の朝に変わる。
男子は登校中、後ろから「おはよう」と女子に声をかけられ、あたりを伺いながら奇妙な出来事を語る。
まだ、ハッキリとは現れない謎の正体は、地球外生命体の宇宙人か、時空を飛び越えてきた未来人。
異星人に捕らわれると、お父さんが「オリャー!」と助けに現れ、息子が「今だ!」と反撃に転じる。
事件が解決した翌日、何ごともなかったような朝の登校風景に替わり、男女が事件の展開を振り返る。
始業のチャイムに慌てて、一緒に仲良く走って校門に入っていくところで、物語は完結するのがお約束。
僕は本を静かに閉じた後、「この2人は高校へ進学したらセックスするぞ…」と、アホな想像をめぐらす。

物語の型がシンプルでわかりやすく、「親子の絆」と「友だちの大切さ」を描いた青春SF小説である。
他にも当時、人気を分かち合っていた「星新一」や「光瀬龍」、「筒井康隆」なんかも併読していたけど、ストーリー運びは「眉村卓」のほうが、リズミックなのでノンストップで乗り飛ばせた。
このあたり、味噌汁の具みたいなもんだから、単に好みでしかないんだけどね。

今は創作本はあまり読まないけど、たまに少年期に読んだ本を斜め読みしたくなるときもあるんだ。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary & Social | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする