2013年11月29日

Nickname

ニックネーム、ありますか…

バーの店主は「マスター」、もしくは「さん」づけで、呼ばれることが多い。
お客さんは「お客さん」だけど、次第に親しみをこめて「さん」づけになる。
ほどほどの関係にもなれば、「ちゃん」や「ニックネーム」に変わることもある。
愛称で通用するのは、これ意外にも人気者の証しだったりするからね。

お客さんを「会社の役職名」で、お呼びすることはない。
敬称とはいえ、私生活の空間だし、肩で風を切ろうとも、いずれ必ず終わりがくるのが役職だ。
呼び名が変わることがない「さん」の素顔で、大切な時間を過ごしてもらいたいのが情である。
会社の役職に依存した、崇拝主義な人を遠慮したいのは、人相がゆがんで性格が屈折してるから。

バーで過ごせる人は、それなりの個人力もある。
金を払えば何をしてもいい、値段だけでモノを手に入れる考え方の人は、いずれ消えて行く。
社会の中の個人がわかる場所だから、人間関係を使い捨てにするようなタイプは論外なんだ。
伊達や酔狂でこんなことを言っているのではなく、詰まるところそこに行きついてくるんだ。

店主として、苦い表情でお客さんを「…おやじ」とか、「…おっちゃん」などと陰で呼んでいるときもあるが、それこそ悪口ではなくて、裏を返せば親愛感だったりする。
友だち同士が、「あんにゃろう」「こんにゃろう」と言いながらも、楽しくつきあっている感覚と同じ。

小さい店であれば、ウイットに富んだ空間が存在している。
お客さんを慇懃無礼に扱ったり、金額の大小や領収証に迎合するような店にはしたくない。
あくまでも、おたがいが今の証言者であり、先々の伴奏者になるかもしれないんだからね。

まだ、会社勤めをしているころ、行きつけの店があった。
店主はもとから「誰かいるかな…」の気持ちで、深夜にほど近いころに扉を開けていた。
呼び名は「お客さん」から、しばらくして本名に「さん」がついた。
いつのまにか、他のお客さんからは「ちゃん」づけで、呼ばれるようになっていた。
しまいには、仕事や私生活の会話に至るまで、気心が通じ合ってきた。
共感したり、納得したり、時には不思議に思えたり、同じような悩みがあったりとかさ。
そこでは、会社の役職に擦り寄られたり、誰からも役職で呼ばれるようなこともなかった。

最後は「エッジー」とか、ヘンテコリンな「ニックネーム」を、どこかのOLからつけられたけど、      それはそれで会社では味わえない心地よさがあった。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする