2013年07月13日

Jazz Talk Vol.28

ある日のN塚さん…

店の席に着いて周囲を見渡してから、何やらカバンの中から静かに「ブツ」を取り出した。
その姿、店内で「非合法な物」を交わそうとしている、取引現場のようにも見える。
僕に「ブツ」を見せながら一言  「マスター これ(CD) 聴いた…?」とニンマリ。

親しくなれば「イントロ」(挨拶)は、こんな感じからはじまる。
それがおたがいの「テーマ」(合言葉)であったりするんだ。
好きな会話を交わせる場は少なくなったけど、好きを共有し合える人は貴重だと思う。

人それぞれ、音楽観がある。
自分は好きだけど、相手は嫌いなこともあるだろう。
ドラムがうるさいという人がいれば、キースの声が気になる人もいるだろう。
威勢のいいジャズが好きな人もいれば、エヴァンス系の美意識に惚れこむ人もいるだろう。
簡単に言えば、訳し方の違いでしかないんだ。
「ジャズを研究して本質に鋭く迫る」なんて、学識ばった人はいないしね。
仮にいたとしても、個人的なつきあいは遠慮させてもらう。

ジャズの愛好家は音源の貸し借りをご法度とする不文律がある。
その昔、レコードを貸して戻ってこなかったこと数枚。
貸した人が悪いのか、返さない人が悪いのかは問わない。
だが、僕ひとりの耳では高が知れているので、人の耳も拝借して知ることも大切だと思っている。
人とジャズを交換し合わなかったら、出会いがもたらすボキャブラリーは広がらないのであってさ。
そのおかげでいろんなジャズを耳にできたし、何よりも「共感、納得、驚き」を得た喜びは大きい。
貸し借りはリスクが高いけど、多くを知るためにはありなんだ。

楽器を演奏する人は、そんなに饒舌ではない。
音楽で表現するのが仕事なので、どちらかと言えば寡黙な部類に入るだろう。
中には「自分の演奏を批判的に聴いているんじゃないか」と、気にする人もいるがそんなことはない。
だけど、ヘタに楽器で知り合った仲だと、つまらないことに角を立てて亀裂が生じることもあるからね。
だから、純粋なリスナー同士で健全な輪を保っていた方が、まだ過ごしやすい場合もあるんだ。

その意味で「N塚さん」や「Eさん」とは、純粋に「ジャズが好き」を理解し合える関係にある。
僕に刺激を与えてくれる人物ではあるが、もう少し若返りを図りたいとも思っているのだが… (笑)
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Jazz & Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする