役に立つ人間は、誰からも愛される。
遠い昔、大して親しくなかった知人から突然連絡が入った。
用件は、健康布団のセールスだった。
顔見知りから、自宅へ食事に招待された。
本題は、宗教の勧誘だった。
断ってから、二度と連絡がくることはなくなった。
彼らにとって、僕は役に立たない人間になったであろう。
上等だ…
私生活を営業の販路に利用するような奴であれは、所詮は所詮でしかないだろう。
金で役立つ一時の関係は、金が縁の切れ目になる。
本当に役立つ人間は仕事や年齢に関係なく、善意で役に立ったらそれはもう仲間なんだ。
ウルトラマンシリーズで人徳があったのが、ウルトラセブンだったんじゃないかな。
セブンは「ミクラス」「ウインダム」「アギラ」、3体の「カプセル怪獣」を懐刀に忍ばせていた。
自身がピンチの場面、時にはレベルに応じて身代わりとなり、凶悪怪獣と戦ってくれた。
対戦結果に見返りを求めないチームだから、たがいがたがいを支えあっているのである。
突き詰めると仲間の期待に、誠実に応えたいからなんだ。
僕の操作ミスで、パソコンが不具合をおこした。
その時に頭に浮かんだ顔が、友人であるT橋T之。
彼は人懐っこい性格の上、得意分野がハッキリしているので気軽に連絡ができる。
何もパソコンだけに限らないが、この分野なら彼であろうと個性が伝わっている。
あの分野なら、あいつに聞けばわかるだろう。
この相談なら、あいつが最も的確な意見を出すだろう。
もっと細かく言えば、人それぞれの職業冥利につくこともあるだろう。
全ては人から、個性は整理されているもの。
僕も誰かに個性を整理され「この場面、Eだろう」と指名されれば、その人の役に立っていることになる。
人それぞれの収納庫には、人の個性や得意分野が必ず保管されている。
その個性を風化させないためにも、適度に連絡を取り合うことで自然に個性交換しているもの。
ビジネスはビジネスだが、そう杓子定規に構えない器量も大事だったりする。
ウルトラセブンのカプセル怪獣のように、何か困ったときの3体の仲間は必要であろう。
つまり、人の得意分野を理解して認め合えれば、人間活用術にもなると思う。
但し、「奴を利用してやろう…」など不誠実につきあったら、冒頭のセールスや勧誘のようになるので、 注意を払いたいものだ。
人生も終盤戦に差しかかってくると、「誠実な関係」だけが生き残りそうな気がするね。