2013年05月11日

おじさん(12)

おじさんは見かけによらない…

5日、12時11分 新潟発東京行き上越新幹線 通路側席での光景。
車両の空席が埋まったのは、越後湯沢から乗車してきた複数の年輩客。
連休中なので、よそゆきの服装に身を包んでいるものの、どこかチグハグな着こなしである。

チェックのジャケットに、野球帽のおじさん。
ズボンのウエスト位置が高すぎて、ヨレヨレの靴下が丸見えのおじさん。
全体の姿が茶色か灰色系の洋服に包まれているので、押入れの臭気が漂ってきそうな出で立ちだ。
昔ながらのおじさんらが、前方左斜め前の席に座っていた。

すると奥さまの手作り弁当らしき箱をリックから取り出し、座席のテーブルでタッパを広げる。
白飯には海苔が敷かれてあり、おかずは煮物を中心に茶色系がぎゅうぎゅうに詰められている。
原色は厚焼き玉子の黄色、おかずの仕切りに使っているギザギザバランの緑色だけ。
いや、まだあった、金魚の姿をした醤油注しのキャップの赤色。

白飯とおかずを交互に食べ、時々ペットのお茶をグビッと喉に流し込む。
その姿、畑仕事の途中にござを敷いて食べる、農家の昼飯のような雰囲気だ。
食べ終わるとタッパを風呂敷に包み、またリックにしまいこんだ後、満腹気味に爪楊枝をくわえながら、車窓から遠くの山あいを見てたそがれている。
外見からして田舎の風貌を漂わせている、昔かたぎのおじさんの姿がそこにある。
昔の特急電車「とき」から、新幹線にハードは変わっても、人のソフトはあまり変わらないもの。
しかし、そんな牧歌的な光景もつかのまで、次の瞬間に吹き飛んでしまった。

腰を浮かせて、ズボンのポケットからスマホを取り出すと、人差指で画面タッチをはじめた。
その指の動きがとても速くて、手慣れた様子でサクサクと使いこなす。
続いてイヤホンを耳に装着すると、ダウンロードしたと思われる音楽を気持ち良さそうに聴いている。
さっきまでの光景を見ているので、そのギャップが余計に大きく感じてしまう。
絶対に使っていなさそうな人が、実は器用にこなせたりしたときの驚きは大きい。

僕は携帯電話しか持参していないので、おじさんが何を操作して何を愉しんでいるのかは知らない。
おじさんと言っても、どちらかと言えば初老の部類に近いおじさんで、人は見かけじゃないと思った。
そんなことを思いながら車窓に目を向けると、さきほどまでの山あいの景色は流れており、次第に何の変哲もない住宅マンションが目立ってきた。

店で「そろばん」を使ってお会計したら、きっとお客さん驚くだろうな   そんな感じだよ (笑)
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする