2013年02月07日

気怠い歌声

「この寒波だ、今日は暇だろうな…」と思いながら、店の看板に灯りを入れた。

22時の時点で客が誰も来ないので、自宅で待機している妻に電話をして今日は特別に休ませた。
その電話から10分過ぎた頃、扉の鐘が小さく鳴り響き「ごぶさたしてました…」と、少しうつむきかげんで入ってきたのがSさん。
他に誰もいないので、「どうぞ、お好きな席へ」と導いたが、後から来るかも知れないお客さんのことを    気遣ってか、隅の席に腰をかけてホットウイスキーを注文した。

室温を二℃上げた。
Sさんは、暇であろう日を予想して来ていただける、勘所の持ち主である。
そのぶん、他のご常連さんとはあまり面識のない、希少なお客さんかも知れない。
だからと言って、人見知りする人でもないので、この後に誰が来ようと場持ちできる器量もある。

以前も書いたが、ジャズをアプローチにしている店なので、会話の妨げにならない音量で流し、誰とでも気軽に社交できる雰囲気だと思ってくれればいい。
もちろん、ジャズに興味が湧けば、その後の展開に道しるべをつける具合である。
そんな空気を理解してくれて、持ち前の社交性で輪を描けるSさん。
持参してくれた懐かしいCDが、Helen Merrill 「 You'd Be So Nice To Come Home To 」
一曲目 「 Don't Explain 」の気だるい歌声が、今晩の寒さを物語ってくれているようだった。

暦の上では立春は過ぎたものの、まだまだ寒い夜は続きそうである…
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする