「いや、いっーや、あっちぇ、風呂らったなあ〜」 (新潟弁)
10日夜、銭湯に行ったら、お湯の温度が熱過ぎた。
まるで、「入るな」と言わんばかりの熱さである。
他に客が五人ほどいたが、誰ひとり水でお湯をぬるめようとせず、さっさと入ってさっさと出る感じだ。
体温とお湯加減は人それぞれなので、他の客に遠慮してぬるめないようにしているとさえ思える。
僕でも半身浴で済ませたほどだから、体感温度は相当なものである。
湯船から出ると下半身は赤く、上半身は白い状態。
日焼けした肌の境目を思い出してもらえばわかるだろう。
「何で、水でうめないのか」と、思われるだろうがお答えしよう。
僕のような「銭湯の達人」ともなると、暗黙の「銭湯ルール」がわかってくる。
熱湯を我慢してこそ、一人前の世界があるからだ。
右手を入れて「どりゃー」と、渦潮のように大きくかき回すだけ。
うめていいのは、子どもやお年寄りに限る。
体に負担はかかるが熱くても、涼しげな顔をして湯船につかっているのが達人のこだわりである。
この日、僕の入浴時間は史上最短の45秒… まさに、「熱闘風呂」であった。
銭湯には、男なりの「ルール」や「ロマン」があるのだ。