2012年04月22日

そういう男

3週間前まで全裸だった、桜の木が見事なピンクを咲かせてくれた。

21日午後、部屋の窓から満開に咲く、桜の木を見ながらタクシーを手配した。
行先は、新潟大学病院に入院している、お客さんの見舞いに行くためである。

今から、11年ほど前のエピソードになるが、確固たる理由のもと、変な誤解や詮索はしないでほしい。
某組織の親分が脳梗塞で緊急入院したことがある。
偶然の運命を受け容れて、二度ほど面会に行ったが、あまりにも生きる世界が違い過ぎた。
そのため、身寄りの薄い人だったが、覚悟の上での人生であったのだろう。

しかし、行くたびに、病床で静かに寄り添っている男がいた。
最初、ボディガードだと思っていたが、親分は組織を引退しているので、対抗勢力も仁義に反するマネはしないはずだ。
親族ではない男に、「いつも、こうして、見守っていらっしゃるんですか…」と、たずねてみた。
すると、「ええ、昔お世話になりましたので…」と、聞き取れないほどの低音でボソリと答えた。
僕は、二人の師弟関係を知ろうとは思わないし、そんな人脈に関わることもゴメンである。
だが、アンダーグラウンドな世界でありながら、人としての道徳は一般社会よりも厚いものがある。
彼らの世界では、それを「仁義」と呼ぶらしいが、少しでもその気持ちを想像すればわかるであろう。
男の年齢は、僕とそう変わらず、その筋では名が知れていた。

住む世界はどうあれ、人の役に立つ人間は愛される。
その人のためになったら、頼られるし、慕われるのが、社会的に役に立つ人間なんだと思う。
それは個性や感性、価値観にそっているので、見返りを求めるようなことではない。
僕は倫理観はハッキリさせたいが、こういう理由があるので、人を色眼鏡で見ないようにはしている。

僕の年齢からすれば、人生を頻繁に、「待った」できない。
人の人生に余計な口ははさまないけど、人間の連帯感を大切に暮らしていく必要はあるだろう。

見舞い先の病室には、いつもその人に付き添って、身の回りをお世話しているM脇さんがいる。
現在、古町で飲食店を営むM脇さんは…   「そういう男」なのである。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Bar & Human | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする