連日、こうも冷え込むと行きたくなるのが銭湯。
僕の夢の1日はこうだ。
自宅から、徒歩の範囲で銭湯がある。
洗面道具は番台に預けてあるので、タオルだけ持って行ける。
脱衣場で新聞を広げたり、大相撲中継を観たり、近所のおやじさんとヘボ将棋を指したり。
とにかく、ダラダラして過ごす。
銭湯の帰り道、小さな灯りに誘われ、夫婦で営んでいる小料理屋の暖簾をくぐる。
小さく、「いらっしゃい」と声をかけられ、カウンターでビールを手酌で注ぐ音が風情に聞こえる。
小鉢は、「ネギぬた」 「もずく」、小腹が空けば、「ハムカツ」 「かつとじ煮」があれば嬉しい。
隣には、「なぎら健壱」 「泉谷しげる」のような、下町が似合う粋なおやじがいて、どうでもいい会話で 楽しく酔える。
そんなひと時があれば、明日からの活力源にもなる。
ほろ酔い気分で過ごしていると、ガラガラ… 格子戸がゆっくりと開く。
すると、和服姿で笑顔が素敵な美人が現れて、僕の隣に寄り添うように座る。
「あんた、やっぱり、ここで飲んでいたの。 じゃあ、私も一杯飲んじゃおうかな…」と、グラスを傾ける。
「あの女、どこかで見たことあるよな…」と、客がささやく。
そこで僕が、「あっ、言わなかったっけ 俺の女房は、演歌歌手の伍代夏子なんだよ…」
なんか、男のロマンだと思わないか。 これぞ、男の至福である。 こんなこと、言ってみたいよね。