2011年10月30日

天下り酒場

本を買うときは、それなりに読む時間を費やすので、選ぶときは慎重になる。
ハードカバーは、価格も張るのでなおさらだ。

若い頃は乱読タイプだったので、書店を巡り歩いては、まとめ買いをしていた頃もあった。
とは言え、読破した本は少なく、途中から読み流したり、読んだ気になっていただけだと思う。
興味が広かったので、ひとつの本で停滞してしまうことを嫌っていた。
そんな読み方なので、浅知恵は身につくが、深みに欠けることは当然だった。

今は、基本的に一冊買いで、ゆっくりと読むようになった。
だからと言って、深みなどないし、僕を本当に知る人からすれば、いつまでたっても僕は僕である。
大した内容の本は読めないし、人からこう見られたいから、この本を読むというような、他者の目を意識したこともないし、僕自身のための楽しい読書でいいと思っている。

ちなみに、今ゆっくりと読んでいる本を紹介すると、「天下り酒場」(原 宏一)
平成19年初版、全六編からなる短編小説。 (本のタイトルに目を引寄せられた)
タイトル「天下り酒場」は、個人経営の小さな居酒屋に、元県庁の役人を雇うことにした。
それからというもの、店の業績は右肩上がりとなり、あっという間に店舗を拡張していくのだが、水面下では合法的な乗っ取り計画が企てられていた…  それを知った職人気質の店主はどう動いたか。
各編とも、現実的には少し考えにくい展開だが、日常を舞台に起きている出来事に社会風刺を交えて、誰にでも読みやすいものに仕上げている。
風景描写がしつこくまとわりつくこともなく、ほどよい量の字数と台詞が絡み合うので、テンポよく読める。
それながら、肝心な部分はスローテンポで、読ませどころを作っている、作者のセンスに脱帽である。

秋の夜長である…  たまには、お薦めの本の一冊でも紹介するさ。 
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary & Social | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする