2011年08月07日

人間の証明

Mama Do you remember.

7日、俳優でロックシンガーでもある、ジョー山中が肺がんのため、64歳でその生涯を終えた。

1977年、中学1年生…
初めて前売券を買い、一人で映画館へ出かけて観たのが、角川映画 「人間の証明」である。
主演は、岡田茉莉子 松田優作 ジョージケネディ そしてジョニーヘイワードを演じたジョー山中。
鑑賞後は、森村誠一の原作も読みふけて、ジョー山中の歌声(テーマ曲)を繰り返し聴いていた。
西条八十の詩集、「麦わら帽子」は、何度も読み返したものだ。

母さん、僕のあの帽子、どうしたでしょうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谿底へ落としたあの麦稈帽子ですよ。

母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあの時、ずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。

母さん、あのとき、向から若い薬売りが来ましたっけね。
紺の脚絆に手甲をした。
そして拾おうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谿で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。

母さん、ほんとにあの帽子、どうなったでしょう?
あのとき傍に咲いていた、車百合の花は
もうとうに、枯れちゃったでしょうね。そして
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で、毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。

母さん、そして、きっと今頃は、  今夜あたりは、
あの谿間に、静かに雪がつもっているでしょう、
昔、つやつやひかった、あの以太利麦の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y・S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。
                 西条八十 詩集「麦わら帽子」より    

近年、「CG仕上げ」や「感動の物語」を、売りにする映画は多い。
ゆえに、「驚かせてやろう」、「泣かせてやろう」という思惑が、ありありと感じることもある。
だから、「すごかった」、「面白かった」程度の、ボキャブラリーしか言えなくなってしまうのだ。
不器用な作品でもいいから、文学的でヒューマニズム溢れる映画を観たくなる。
それが僕の中の、「人間の証明」であり、「麦わら帽子」である。

終戦記念日 1945年8月15日  こういう、「心の爪痕」もあることを知るべきだ。
posted by GIG at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Cinema Fan | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする