30年ぶりに聴き返したアルバム 「ザ・ケルン・コンサ−ト」/キ−ス・ジャレット(1975)
15歳の時、初めて針を落としたが、最後まで聴きこんだ記憶がない。
完全即興の66分間にも及ぶ、ピアノソロを飽きもせずに、聴き続けられるほどの耳はなかった。
せいぜい、四部構成(PART-1)の有名な出だしに入れ込んだ程度で、その後は同じに聴こえていた。
毎回そんな調子だから、眠りに堕ちてタ−ンテ−ブルだけが、延々に回り続けていた夜も多かった。
キ−ス・ジャレットの場合、ソロとトリオの演奏では全く異なる。
もちろん、彼の名を不動にした、(限りなく美しい名盤)として、名高いアルバムではある。
だが、当時の私にとって、(限りなく眠くなる名盤)として、30年もお蔵入りしていたアルバムでもある。
それこそ、なけなしの小遣いを叩いて買った、(限りなく後悔した名盤)リストに、加えた一枚であった。
今でも思うのは、「はたしてこれはジャズなのか?」
リズミカルではなく、メロディアスでもなく、…わからないが、もうそんなことはどうでもいい。
改めて聴き返して実感したことは、ピアノの美しさが衝撃的だったこと。
眠くなるどころか、頭がさえてくるようで、心地よい気分にさせられる。
理屈では説明できないけど、これがまた自然に聴けるんだ。
昔、聴けなかったのに、聴けるようになっていたんだよね。
自分自身、耳が肥えたなんて思っちゃいないけどさ …いいものはいい。